[0085] ホームエレベーター

約1ヶ月ぶりの更新になります。今回はホームエレベーターについてです。先日、ご質問をいただいたので、我が家のケースをもう少し詳しく紹介しておきます。

妻が在宅療養できる自宅の新築にあたっては、敷地の関係で居室スペースを2階に設置することになったため、ホームエレベーターが必要になりました。ハウスメーカーには設計の段階でリクライニング式車椅子の乗れるホームエレベーターの設置を希望しました。妻は首がまだ座っていないため、ヘッドレストのあるリクライニング式車椅子を使っていて、普通に座った状態では背もたれは30度くらい寝かしてあり、その状態で全長を測るとおよそ140cmになります。幅は一番広いところで65cmです。このサイズでホームエレベーターを探してもらったところ「ありません」という返事でした。

エレベーターの設置は安全性の観点から法律で厳しく規制があります。家庭用のホームエレベーターは床面積1.1㎡以下と決まっていて、奥行きを長くすると必然的に幅が狭くなります。ハウスメーカーの設計の選択肢にあったのは一番大きな3人乗りで奥行き115cmでした。妻の車椅子を背もたれを90度まで立ててなんとか収まるかどうかと言う寸法なので、もっと大きなものはないかと検討してもらい、パナソニック製で奥行き最大129cmというのが見つかりました。これ以上はホームタイプではなく一般用になるため、家の構造も規制が出てくるし、一般用は保守契約も高価になるとのことでしたので、奥行き129cmのXLクラシックEというモデルになりました。本当は140cm必要なので、正直乗せてみるまでは実用的に乗れるかどうか不安でした。妻の車椅子を乗せるにはやっぱり背もたれを一番起こして、チルトも起こした状態でなんとか乗せられるという感じです。しかし、法律で定められていることなのでこれは仕方が無いです。

費用ですが、新築でつけたので家の構造にかかる部分は良くわかりませんが、エレベーター自体は2階仕様の定価で350万円ほどです。電気代は1日10往復利用して月に500円とカタログには書いてあります。障害者手帳があると昇降機の設置には補助があるのですが、新築の場合は対象外です。リフォームならば補助が出るので、新築時に吹き抜けのスペースだけ設置しておいて後からエレベーターをつける人もいるそうです。改築では対応しきれないので新築するのに、新築の場合は補助が出ないなんて、この辺の福祉の補助のあり方はいつも疑問に感じます。新築で建てられるほど資金があるなら補助はいらないだろうという考え方なのでしょうか。

スペース的なことですが、エレベーターの設置に必要な床面積は思ったほど大きくはなかったのですが、車椅子で乗り込むためには比較的広めのエレベーターホールが必要ですし、エレベーターに通じる廊下も必要です。うちの場合もエレベーターとエレベーターホール+廊下をあわせると1部屋取れそうなほど面積を取っています。間取りを工夫して、例えば2階のエレベーターの入り口を直接部屋の中に設けるとかすればスペースの節約になるかもしれません。

ホームエレベーターメーカーの大手はパナソニックともう1社三菱日立ホームエレベーターがあります。こちらのwebカタログには奥行き130cmというタイプがありました。構造は油圧式とロープ式があって、油圧式は下からジャッキで持ち上げる方式、ロープ式は一般にあるように上に機会があってロープでかごをつり下げる方式です。うちのは油圧式になります。エレベーターにありがちなふわりとした感じがありません。上がる時は下からどんと突き上げ感があります。上昇下降の時間をはかってみましたが、ドアが完全に閉まってから次の階で完全に開くまで、登りは18秒、下りは24秒でした。なぜか登りの方が短いですが、割とゆっくりなのでほとんど動きを感じません。とても静かに昇降します。

それから設置後のメンテナンスに関してですが、保守契約はパナソニックの場合はエコノミープランで年間31,500円、しっかりプランは44,100円でした。エコノミーは1日利用回数30回以下が目安となっています。うちはほとんど1日1往復程度なのでエコノミープランです。また定期検査報告必要地域の場合はプラス3,000円ほど必要になります。保守契約しておくと年に1回保守点検が来ますので安心です。停電時は予備のバッテリーがあって1階まで下りて扉が開くようになっています。また1日に1回(12時頃)一度2階まで行って1階に下りてくるというテスト運転を自動的に行います。

まさか自分がエレベーター付きの家に住むことになるとは思ってもいませんでしたが、エレベーターがあればそれはそれで便利です。特に引っ越しの時には重い荷物や家具類を2階へ運ぶのに活躍しました。組み立て家具も宅配便では玄関までしか運んでくれないので2階へ運ぶのにはエレベーターがあると楽ちんです。入り口の高さは180cmあるので冷蔵庫も乗せられました。

妻の車椅子はリクライニング式のため背もたれ部分がボリュームがあり、足を乗せるところもこれ以上は膝が曲がらないようになっているので縦方向に長いです。平常時の楽な姿勢で全長140cmです。
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エレベーターに乗る時の姿勢です。リクライニングとチルトを上げた状態。これで奥行き129cmのエレベーターに乗って少し余裕があります。本人はちょっと窮屈そうです。
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エレベーターのドア。シックな感じです。
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ドアが開いたところ
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中の操作盤です。電話が付いていて緊急時はパナソニックにつながります。
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妻の車椅子の幅は65cmです。このすき間に介護者は乗ります。メタボの人は無理かもしれません。
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エレベーターホールも結構スペースを取ります。
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エレベーターのカタログでは乗り込める車椅子の最大の長さは介護者が同乗する場合で1050mm以下と書いてありますが、リクライニング式でそんな車椅子はありませんし、妻の車椅子も乗車可能です。重度の障がい者で上体を起こすことができなくて寝たままで乗れる車椅子に乗っている人を見たことがありますが(ほとんどストレッチャー)、そういう人はどうしているのだろうかと思いますし、家庭用でも介護ベッドごと乗れるホームエレベーターがあってもいいように思うのですが、法律はなんとかならないのでしょうか。そういう人は病院か施設にいるという考え方なのでしょうか。在宅療養の障がい者にとってはホームエレベーターは贅沢品ではなく必需品なのです。

パナソニックホームエレベーター
http://www2.panasonic.co.jp/es/peshev/index.html
三菱日立ホームエレベーター
http://www.mh-he.co.jp/

この記事へのコメント

buta
2012年09月26日 21:08
お忙しい中詳細なご報告ありがとうございました。私も設計事務所から業務用は値段も管理費もかなり高くなるとの説明を聞きましたが、だからといってホームエレベーターをつけて車いすで乗れなければ意味がないので、病院のエレベーターの中で広さを予測してシミュレーションしてみましたが、確信できないでいました。本当に参考になりました。ありがとうございました。
2012年09月30日 18:58
buta様
本当はホームエレベーターメーカーのショールームが近くにあって本人の車椅子を乗せてみることができたらいいのですが。うちも家が完成して実際に妻を乗せてみるまではドキドキでした。ご健闘を祈っています。

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