[0084] ポータブルトイレを使った座位訓練の試み

妻のリハビリは主には訪問リハビリ(PT, OT, ST各週一回)でやってもらっているのですが、足りない分は家族リハで補っています。以前から首が座ってくれるといいなと思って、座った状態で首が保持できるように訓練をやっています。その一環でポータブルトイレを使って安定的に座った姿勢で首保持をできるようにトレーニングを続けていまして、このところ偶然かもしれませんが支えなしでも座っていられるようになってきています。今週は僕の仕事がお盆で休みなので毎日短期集中トレーニングを行っているのですが、昨日も一昨日も10分間支えなしで座っていられました。これは初めてのことです。緊張度は弱い日強い日いろいろですが、それなりにバランスをとっているように見えます。特に、大胸筋にボトックス注射をやってもらってから一段とバランスが取れるようになっているように思えます。

リハビリ病院に入院中からベッドで端座位を取って、首の保持を訓練していましたが、はじめは首の装具をつけて、介護者が後ろから支えて、それでも首はなかなか安定しなくて、調子の良い時にせいぜい30秒ほどできる程度でした。在宅になってからは座ろうくんを購入して、ベッドの端座位を補助する形で続けました。座ろうくんがあると上体は安定するのですがやはり首はぐらついてなかなか自立できないでいました。でもまずは「座る」姿勢を取ることが大事だと考えて、良い姿勢を覚えてもらうようなつもりで行いました。

それからしばらくしてトイレ訓練の一環でポータブルトイレを試してみたことがあって、結局トイレはできなかったのですが、ポータブルトイレの便座に座るとおしりがすっぽり包まれてとても安定して座れることに気づき、これはリハビリに使えるなと思いつきました。ベッドだとエアーマットを使っていることもあって座面が柔らかくおしりが左右にぐらつくし、座っているとだんだんとおしりが前方にずれてきて座りが浅くなってしまうことがありましたが、ポータブルトイレを使うとその点が改善できることがわかりました。それ以来、このやり方には手応えを感じてポータブルトイレを使った座位訓練を続けています。

これもはじめは上体の支えが必要なので、ポータブルトイレと座ろうくんを組み合わせて、座ろうくんのテーブルに肘をつくことで状態を安定させていたのですが、補助して安定させるよりは逆に補助を外して不安定な状態にした方が訓練としては有効ではないかと考え、ポータブルトイレだけで行うようになりました。介護者が後ろから座位を支えますが、上体の安定と首の保持の2つの要因が必要なので、なかなか自立できるところまでは行かなくて、良くて1分くらい、上体を支えると首保持だけ良かったり、また、緊張が強いと上を向きすぎてのけぞってしまいますし、頭は左向きが強いので左に傾いてしまったり、眠いと逆に前に頭が落ちてしまっていました。

試行錯誤が続きましたが、ついにというか本当にここ数日は完全にコツをつかんだように思えます。確かに、身体を支える補助具がいろいろあると身体はそれを頼りにしてしまって訓練効果は少なくなってしまいます。あえて補助が無い状態にすることで身体が不安定になると無意識的にも上体を支えようとする力が引き出せるように思えます。ここまで約2年かかりましたが、続けていれば人間の身体は自然と適応してくるのだと思いました。もちろん、この座位訓練だけでなく、バランスボールや立位訓練、専門家の訪問リハビリ、ボツリヌス療法等様々なことが複合的に効いているのだと思います。そして妻本人の頑張りもあります。

リハビリの世界では6ヶ月の壁というのがあるそうです。発症から6ヶ月はリハビリの効果があらわれて機能回復ができるが、6ヶ月を過ぎると回復が期待できなくなると言うもので、医療の世界でもこの法則に従って、回復期リハビリも6ヶ月を過ぎると原則打ち切りになってしまいます。その後は維持期の簡単なリハビリになるのですが、これには本当に疑問を感じます。診療報酬の削減が先にありきという感じがしてなりません。人間の身体は適切な訓練次第では6ヶ月でも1年でも5年でも10年でもいくら年月が経っても回復する力を引き出すことはできるのです。意識がない人に何をやっても無駄だということも言われますが、そんなことはありません。やったらやっただけの事はありますし、機能を衰えさせずに維持させると言うことも大事なことです。慢性期の患者を切り捨てるような医療制度は改善してもらいたいものです。

当面の目標は、首が座って背もたれの短い普通の車椅子に座れるようになりたいと思っています。まだあと何年かかるかわかりませんが地道に続けて行こうと思います。

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まず、ベッドで端座位にして股関節をしっかり曲げるようにストレッチをします。それからポータブルトイレに移して、座ります(この時に膝をしっかり曲げて深く腰掛けることが大切)。胸を広げるようにストレッチをしてから座位訓練の開始です。顔は若干上向きではありますが、時々自分で修正しながら10分間補助なして座れました。
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ポータブルトイレの肘掛けは邪魔になるのではずしてあります。

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この記事へのコメント

メロン
2012年08月16日 22:09
感動です!!これからも奥様が色々な感覚を思い出して下さるよう応援しています!!
うちも娘が倒れてから2年経ち、座位は全然フラフラしてまだ座れませんが、首はかなりすわってきて、ヘッドレストが不要になってきました。
リハビリを継続していれば本当にほんの少しずつでも回復してくれるので、6か月の壁なんて言わないで、どんどんリハビリ受けさせて欲しいですよね。うちの地区では小児PTは小学生になるとだいたい月一回にされてしまいます。健常児の習い事だって週一回が普通なのに…と思ってしまいます。
ハートウォーカーという歩行器をご存知ですか?リハビリを受けられないので、歩行器を作ってまずは自宅で立位を頑張ろうと思っています。大人用もあり、YouTubeで見られますが、麻痺で寝たきりだった方がマラソンに出られるほどに回復なさっていて感動です。
他の方の回復体験はやはり励みになりますよね。奥様のお話また楽しみにしております♪

笑み
2012年08月17日 13:45
メロンさんの娘さんは小学生なのですか?
突然のカキコミですみません
Upstream
2012年08月17日 22:46
福寿草様
奥様の座位が安定してこられたご様子、感動いたしました。我が家では、ベッドサイドに妻を端座位させて私が横に並び、肩を支えてTVを鑑賞しています。

おっしゃるように、発症から半年ではまだ何もわかりませんよね。うちの妻は発症から4年たってから嚥下トレーニングをして、わずか3か月で離乳食を食べるまでに回復しています。経費削減でリハが打ち切られるようですが、適切に扱えば時間が少々経過しても回復してくる例は沢山あるように思えますね。
妻も「意識のない患者」ですが、TVを観て面白ければ笑いますし、悲しければ泣きますし、口に入れた食べ物が美味ければ喉をゴクゴク鳴らして食べますし、不味ければ大声で喚き散らします。

「リハビリは、意識障害の患者にも有効です」
2012年08月18日 23:02
お久しぶりです。
すごいですね!
しっかり座れていますね。パチパチパチ!!!
そういえば、私は夫がまだ入院していたころ、かっこちゃんのメルマガで書いてあった「エアバイク」というのをしていました。
ベッドの頭を少し上げで、強引に夫とベットの間に入り込んで、二人乗りのバイクのようにして、体を揺すりました(笑)
脳には振動がいいと思って・・・
本当にリハビリの6か月の壁はありませんね。
我が家も在宅になってからが、本番でしたもの。リハビリ病院では「これ以上よくならないだろうけど、機能が落ちないように」といわれましたけれど・・・・
2012年08月19日 07:55
メロン様
お久しぶりです。お子さんは夏休みでしょうか。それにしても子供のリハビリの方がもっと状況はいいのかと思っていましたが、PTが月一なんて、効果があるのでしょうか。地域によるのかもしれませんが。
人間の回復力、子供の成長能力というのは想像を超えるものがあると思います。一律に切ってしまうことには本当に疑問を感じます。
リハビリ病院にいた頃は足装具をつけて歩かせてもらったりしていたので、またいつの日か歩行器が使えるようになることを目標にします。
2012年08月19日 08:00
Upstream様
発症から4年経ってトレーニングを始めて3ヶ月で回復…、今の医療はこのような人も切り捨てているのですね。発症からの年月ではなくてせめて訓練を始めてからの期間をみてもらいたいです。回復期というのは患者それぞれで違うはずですが、その評価が難しいので一律に切ってしまっているように思えます。
そんな中で4年経っても食べる訓練をあきらめなかったUpstreamさんの粘り勝ちですね。
2012年08月19日 08:07
空様
妻の座位ですが、本当にこの1ヶ月くらいで急にできるようになりました。あきらめないことは本当に大事です。機能を落とさないようにすることも大事です。機能を維持していてこそ回復があります。
「エアバイク」ですか。空さんは体力がありますね。私も妻の端座位をベッドに膝立ちで後ろから支えて訓練していましたが、10分もやると膝が笑ってきて、夏は汗だくになります。今名なるべく楽をするようにしていますので、いろいろ使えそうな道具を物色しています。
もみじ
2012年08月21日 22:42
初めてコメントさせて頂きます。
奥様のサポートを本当に熱心にされていること
家庭でも訓練されたり本当に感心しています。
奥様は座位がちゃんとできていますね。
凄いです。
私の70代の母は先月遠隔地の脳外科医の名医に
未破裂巨大脳動脈瘤のクリッピングと
バイパス術をしてもらい、そのあと
遷延性意識障害になりました。
医師は手術は成功といいますが、
今は左半身不随、右目が閉じたまま。
発声もなく、昏睡状態でした。
医師は原因がわからないといいます。
本当なら意識は回復するはずと。
術後の血糖値コントロールも脳外科主治医が
うまくなく、こんな小さな病院にはいられないと地元の脳外科医にセカンドオピニオンを求め
転院を要請し、どうにか受け入れてもらって2週間目です。現在も、経腸栄養剤で鼻に管をしています。血圧も、血糖値も地元の総合病院では
安定しています。
私が長生きして欲しいしいと思って受けさせた手術で母のすべてを奪ってしまいました。

今は辛いですが、母はもっと辛いんだ、悲しんでる場合じゃないと色々本などを読んで勉強しています。

本日療養型総合病院い受け入れてもらえ安心しました。嚥下リハビリ、VF検査ができる大きな病院です。ST,OT,PTも50人いるのでリハビリ2時間できるとの事でほっとしました。

これからもブログをみさせてもらいます。
本当に勉強になります。ありがとうございます。
ちゃっきー
2012年08月24日 23:39
福寿草さま。こんばんは(*^.^*)
座位保持すごいですね!すごく勇気がわきました!本当に継続は力なり。ですね。意識の覚醒には安定した車椅子座位より不安定な端座位の方がいいと言いますし、それだけ座位保持ができると活動範囲も広がりまた刺激にもなりますね(*^.^*)これからが楽しみですね☆ほんとに奥様と福寿草さまの頑張りに拍手です!
私も10月に夫の実家へですが、帰り在宅でリハビリも続けていく予定です。また家でも続けて自分たちでできそぅなリハビリあれば教えてください。
在宅を決心するまでの色んな思いはあったし、不安事もたくさんです。でも夫が夫らしくいられる場所に帰れる、家族でいられることが嬉しいし楽しみでもあります。
また福寿草さまの介護法参考にさせていただきます(*^^*)
2012年08月25日 08:17
もみじ様
お母様が少しでも回復の望める環境で治療してもらえるように東奔西走していらっしゃる様子が良くわかります。なかなか世間の制度の壁は分厚いですが、療養型でもリハビリのある病院が見つかったようで何よりです。人間の回復能力というのは想像を遙かに超えるものを持っています。お母様も訓練で辛いこともあるかもしれませんが、しっかり励ましてあげて下さい。褒めることも大切です。
共に頑張りましょう。
2012年08月25日 08:22
ちゃっきー様
そうですか、在宅が決まりそうなんですね。
私もはじめは不安ばかりでしたが、やってみればもう入院生活へは戻れないと思えるようになっています。家族の支えも大きいです。
家族リハはいいと思えることはとりあえず何でも試していますが、効果が出るにはやはり時間がかかります。でも効果のあったものは1回目で何らかの手応えみたいなものを感じます。勘が頼りですが、観察も大切です。あきらめない気持ちと、妻を良く褒めて伸ばすことを基本理念としてやっています。
また様子を知らせて下さい。
きよりん
2012年08月26日 23:16
お久しぶりでした。
とても暑い日が続いてますが、お2人の体調は崩されてませんか?

さて、奥様支えもなしに凄くしっかり座ってますね!!!
やっぱり安定しているより不安定な方が、自分で支えようとする力がつくのですね。
旦那さんは、ちょっと硬いのと緊張入りやすいので、端座位の時は先生も支えの手を外せないですが、首は少し自分で保っている感じで必死顔です…(汗)。
buta
2012年08月28日 00:12
福寿草様、初めまして。以前よりずっと読ませていただき、いろいろ参考にさせていただいています。座位保持すごいですね。私の夫は遷延性意識障害になって2年半、現在なお入院中で、最近自分で頭はもたげ良いときは20分近く保持できますが、背中は起こせません。背面解放試してみたいのですが入院中はかえって制約が多くて困難です。外出外泊、できれば退院をめざして家の建て替えを検討しています。竹虎のリフトやお風呂も参考にさせていただいていますが、エレベーターのことで困っています。リクライニング車いすを倒したときホームエレベーターだと入らないのではないかということです。奥様はリクライニング車いすをお使いと思いますが、どのようなエレベーターをお使いかお教えいただけますか?初めてなのにあつかましく恐縮です。
2012年08月29日 22:50
きよりん様
座位訓練も奥が深くて、もちろん初めから自力で座るのは無理なので補助しながら良い姿勢を覚えるところから始まります。
きよりんさんの旦那さんは必死な顔をされると言うことは座っているという認識はあるはずですから、続けていればキットできるようになると思います。継続は大切ですね。
なかなか残暑が収まらない今日この頃ですが、もうしばらくの辛抱ですね。
2012年08月29日 22:55
buta様
ホームエレベーターですが、詳しくは後日ブログで紹介しようと思いますが、うちのはパナソニックの一番奥行きのあるタイプです(業界最大と書いてあります)。ですが、それでも奥行きは1290mmなので、リクライニング車椅子で普通にすわると1400くらいになりますから、1290に押し込めるためには背もたれはひとんど直角まで起こします。妻は窮屈になりますが、何とかぎりぎり乗り込めます。ホームエレベーターはこのくらいが最大のようで、それ以上を求めると業務用になります。業務用は値段も高いし、法律で保守が厳しくなりますので保守契約も高額になります。ホームタイプだと年間3,4万円くらいです。
またブログで詳しく書きますね。
buta
2012年08月29日 23:46
福寿草様
早速のお返事ありがとうございました。ブログで詳しく書いて下さるとのことですが、もう一つ質問させて下さい。奥様がエレベーターに乗られるとき、福寿草様も一緒に乗ることが可能ですか?
2012年09月02日 17:07
buta様
なかなか時間が取れなくてブログ更新は少し先になりそうなので簡単に回答しておきます。
エレベーターには必ず介護者も同乗します。前後はスペースがないので、横のすき間になんとか入れます。頭が前屈みになるので支えてあげます。したがってメタボの人は同乗は苦しいかもしれません。
停電時は自動的に1階まで下りてドアが開くようになっていますし、内部には非常電話も設置されています。使わないに越したことはないですが。
buta
2012年09月02日 23:17
お忙しいのにありがとうございました。業務用だと値段も管理費も高く、かといってホームエレベーターつけて入れなかったら意味ないし、困っていたところでした。ありがとうございました。

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