遷延性意識障害の妻を支えて

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zoom RSS [0048] 経緯(その12・嚥下訓練開始)<発症3ヶ月〜5ヶ月>

<<   作成日時 : 2011/01/18 22:48   >>

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しばらく「経緯」を書くのをサボっていましたが、昔の記憶をたどりながら久々の更新です。

【第15回日本意識障害学会への参加】
「経緯その11」で書き忘れたことを始めに書いておきます。

「経緯その9」で書いていますが、発症2ヶ月の頃、意識障害に対する積極的な治療法であるDCS(脊髄後索電気刺激)のことを知って、実際に手術をしてくれている藤田保健衛生大へ面談に行ったのですが、その時はドクターから6ヶ月たっても意識が戻らず遷延しているようならば脳血流検査をした上で判断しましょうと言われていました。

だんだんとその6ヶ月が近づく中、その藤田保健衛生大学の脳神経外科教室が中心となって運営している日本意識障害学会というのがあって、7月13,14日に大阪で開催されるというので情報を得るために参加してきました。もちろんDCSのことが一番知りたかったのですが、学会理事長の神野先生の講演を聞いて、この分野ではDCSの効果については作用機序の解明も進んで(脳血流の上昇、カテコールアミンの代謝促進、GABAの放出促進、サブスタンスPの上昇、アセチルコリンの増加等)、スタンダード的なものになっているという印象を受けました。

そして会長の野田先生からは音楽運動療法というトランポリンでの上下運動とピアノの生演奏を組み合わせて意識に働きかけるというプログラムの話がありました。病気の治療というと手術や薬というイメージがあるのですが、意識を回復させるというのはそれ以外にも人間の五感を刺激することが大変重要であるということがあらためてわかりました。

また、学会の受付では全国遷延性意識障害者家族の会のパンフレットも置いてあったので、早速入会することにしました。家族会からも現在置かれている困難な状況等、問題が提起されていました。

この学会へは以降、毎年参加することになりましたし、家族会にもその後大変お世話になっています。

【嚥下訓練の開始】
さて、リハビリ病院へ転院して丁度1ヶ月たった頃、それは発症から4ヶ月がたった頃でしたが、PTさんによるリハビリに加えてSTさんによる嚥下の訓練が始まりました。

同室の患者さんにも意識のはっきりされない方がいましたが、STさんが来てくれて飲み込みの練習や口のマッサージをやってもらっていて、妻にもやってもらえないか打診をしていたのですが、ドクターからOKが出たようで、初日はまず状態の把握から始められました。

聞いたところによるとこの病院にはST(言語聴覚士)は一人しかおらず、入院患者全員が嚥下の訓練や言語、聴覚の訓練を必要としているわけではないのですが、リハビリのセラピストPT、OT、STの中ではSTが一番数が少ないそうです。でも「食べること」や「しゃべること」は「歩くこと」や「手で作業をすること」などと同じかそれ以上人間にとっては大切な事に思えますので遷延性意識障害であってももっと積極的にかかわってもらいたいと思います。

妻は発症以来なにも口にしていないし(歯磨きの時にお茶ガーゼで口中を拭いてもらう程度)、せめて好きな味覚を感じさせてあげられたらなと思っていましたので、ST訓練が始まってまた新たな段階に突入した感じになりました。
まずはずっと使っていなかった口の周りの筋肉をほぐすマッサージから始まって、氷で口の周りや口中を刺激するアイスマッサージ(冷たい刺激は嚥下を誘発するそうです)等がはじめの頃のメニューでした。ほっぺたをぱちぱちされて刺激されることもありましたが、はじめの頃は全く反応はなかったのに、この頃はぱちぱちすると少しイヤな顔をすることがありました。マッサージをすると妻は空嚥下をするので反応は良さそうでした。ST訓練は週に5コマやってもらえることになりました。

1週間くらいたって、今度は棒付きキャンディーを使って味覚刺激を入れながら嚥下を誘発してみることになりました。妻にとっても甘いキャンディーの味を楽しめることは長くなった入院生活の上でほんの少しですが楽しみになるのではないかと思えました。氷棒だけよりも明らかに反応は良さそうに思えました。

キャンディー訓練を始めて少し変化がありました。妻は口はほとんど開けっ放しで、唾液もたまってよだれが出ていたのですが、舌の表面は逆に乾燥して舌苔がひび割れているようなかわいそうな状態でした。

それが嚥下訓練で唾液が出て自分で飲み込むので、だんだんと口中にたまっている唾液は少なくなってきて、舌の表面も潤ってきて舌苔があまり気にならなくなってきました。

ST訓練がない日は家族でやるようにしましたし、その後の病院や在宅になってからも基本的には同様の訓練を毎日繰り返して行っています。経管栄養だとなかなか嚥下訓練まではやってもらえないようですが、本当はできるだけ早くから口の筋肉のマッサージやアイス刺激だけでも実施する必要があると感じました。地道な訓練の継続が大切だと改めて思いました。

【藤田保健衛生大へ検査入院申し込み】
6ヶ月までは自然に意識回復する可能性があるが、それ以降は可能性が少なくなってしまうという話を聞いていましたが、その6ヶ月が近づいてきて藤田保健衛生大学であのDCS手術を受けようと決心がついたのもこの頃です。

まずは入院してDCS手術が適応かどうかの検査をしてもらう必要があり、入院申し込みは1ヶ月前からと言うことでしたので7月末に9月初旬からの検査入院を申し込みました。その結果、入院は1週間とのことで2006年9月4日〜8日までの入院が決まりました。脳血流検査が主と言うことでしたが、妻の脳の状態がどのレベルなのか、手術は受けられるのか不安と希望の混じった決断でした。(2006.7.13-8.25)

「経緯(その13)」へつづく。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
やっぱり嚥下訓練って大事ですね!うちは2件目のリハ病院でSTがついてたので毎日口腔ケアとアイスマッサージは必ず(休みの日はナースが)ありゴックン練習してました。次の病院でもSTがいたけど脳外科のdrが誤嚥して肺炎になると可哀想だからと口腔ケアだけに…。 今の病院はSTがいないし家族がやってまた肺炎になっても責任取れないって事でゴックン練習が中断されてます(泣)。でも訪問歯科の衛生士さんが絶対やってあげた方がいいと言うので、ムセない程度にまたアイスマッサージ始めました。リハ病院の時はアイス綿棒を口に当てるとア〜ンってやってたし、ゴックン出来てたからもったいない!今もたまに唾液にムセるけど、吸引嫌いだから痰は上手に飲んでしまう事があるので、まだ飲み込みは出来そうだし。
うちはアメは試してないケド、口腔内に塗る保湿ジェルの味(アップル)付きを塗ってあげてます。初めて塗った時は超ビックリ顔だったので味は感じたのかな?何か簡単に出来そうな試したらいいよって物があったら教えて下さい。ゼリーでも食べれるようになったらいいなぁ。
きよりん
2011/01/18 23:35
きよりん様
いつもありがとうございます。
STさんはPT、OTに比べると数が少ないので病院でもいないところもありますね。療養型だとなおさらだと思います。そうなると家族でやるしかないのですが、やっぱり誤嚥性肺炎は怖いです。口の筋肉のマッサージや空嚥下だけでも続けていけば機能の維持にはなるのかなと思います。
うちでは今は在宅で訪問STさんが週一で来てくれていますがその他の日は家族でやります。ゼリーは大塚製薬のエンゲリードミニを使用していますが、これは体温でも溶けないゲル化剤を使っているので、気管の方へ垂れこむことがなく安全性は高いようです。味の種類が少ないのが欠点です。この辺についてはまたブログ本文で書こうと思います。
福寿草
2011/01/20 21:54
こんにちは、初めてコメントいたします。
嚥下訓練を家族の方で実行されている方の、経験談を探していてこちらのブログにたどり着きました。
そして、経緯を一気に拝見いたしました。
それというのも、意識障害での緊急搬送から、度ごとの変化など、類似点があまりにも多かったからです。
その6までは、症状も医師の宣告も、病院探しの事などや、国政に対するくすぶる不満などまで、そっくりです。
違うのは、私どもの場合は、94歳の老母の事で、低血糖性の意識障害による脳症だという事と、比較的早めに、胃ろう手術を行いました。(現在では当たり前?)
それと、高年齢のせいで、紹介される転院先は、終末期病院ばかりでした。
救命病院を4週間で出ざるを得ませんでしたが、 リハビリの少しでもできる病院をと、 SWさんにくいさがり、 療養型の個人病院に、やはり4週間の予定で入院して6日目です。
『あーうー』という声が出るようになり、もごもご口を少し動かす様のなったところですが、調べれば調べるほど、嚥下訓練や口腔ケアが大切である事を知り、これから実践したいと思っておりますが、ここにはSTさんがいないとのことで、どこまで病院内でやらせてもらえるのかなと、不安です。
福寿草さんのような先輩の教えがあるので、実行する事に大きな不安はありませんが、高年齢のため積極的な治療を、医師に常に否定されるのです。
よって近い将来、自宅介護に移行したいと考えています。
当地、横浜市内ですが、訪問STさんが見つかると大変ありがたいですね。
長文失礼!また寄らせてください。
チュッパチャプス
2011/03/15 22:09
チュッパチャプスさん
お母様も声が出るようになったり回復への兆しのようなものは見えているのではないかと思います。これからこの兆しをどうやって引き出していってあげたらいいか、ご家族のがんばりが必要な時です。
それにしても療養病院でも4週間なのですね。都市部の方が環境は厳しいのかもしれません。次は在宅への移行を考えているということで交渉すれば少しは受け入れをしてくれやすくなるようです。患者の在宅への移行率は病院の評価になるそうです。
五感刺激はとても大切ですが、そのうち味覚刺激は危険を伴うので病院でも積極的にはやってくれません。おそらく嚥下の評価(VF)をやると不合格になります。でも唾液嚥下がむせることなくできていればアメやガム、スルメなどを使った咀嚼嚥下訓練は可能です。病院では何かあると病院の責任なので危険なことはしたがりませんが、在宅になれば家族の責任なので、もちろん慎重にですがやることができます。
妻の場合もいつも同じ味だと飽きてきて、違った味には興味を示すように思います。思い出の味、好きな味、嫌いな味… 味覚刺激が脳へ良い刺激を及ぼすことは確かです。
大変かと思いますが在宅でお母様が尊厳を持って暮らせるようになりますことを願っています。
また、新しい嚥下訓練を始めたら報告します。
福寿草
2011/03/17 07:34

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